放課後カルテネタバレ第2話 牧野先生の語り
私、牧野です。東多摩第八小学校の学校医として赴任して早々、様々な出来事が起こりました。今日は、AED講習会から始まった波乱の一日について語らせてください。
朝から体育館で6年生を対象にAED講習会を行いました。命の大切さを伝えようとしましたが、児童たちの反応は今ひとつ。特に理子という女の子が気になりました。何か心配事でもあるのかな、と。
講習会が終わった後、廊下で啓という転校生が理子に「牧野先生は患者を殺した」と囁いているのを耳にしました。正直、ぞっとしました。私の過去が、ここまで知られているとは…。でも、それ以上に気になったのは、その言葉を聞いた理子の表情でした。
その日の午後、腹痛を訴える理子が保健室にやってきました。診察すると、どうやら生理が始まったようです。理子は混乱し、恥ずかしがっていましたが、私は冷静に対応しました。彼女の不安を和らげるため、体の変化について丁寧に説明しました。
そんな中、突然4年生の勇吾が気胸で倒れるという事態が発生しました。緊急処置が必要な状況で、私は迅速に対応しました。幸い、大事には至りませんでしたが、勇吾の様子が気になります。気胸の原因が単なる偶然ではないような気がしてなりません。
その日の夕方、職員室で篠谷先生と話をしました。彼女は私の態度について指摘してきましたが、正直、心当たりはあります。でも、私にはそうせざるを得ない理由があるんです。ただ、それを説明することはできません。
夜、自宅で1日を振り返りながら、ふと思いました。啓の言葉は本当に単なる噂なのか、それとも…。そして、勇吾の気胸の真相は何なのか。解明すべき謎が次々と浮かび上がってきます。
翌日、出勤途中に啓と出くわしました。彼女の眼差しには何か意味ありげなものを感じます。私の過去について、彼女は一体何を知っているのでしょうか。
学校に着くと、理子が笑顔で挨拶してくれました。昨日の出来事を乗り越え、少し成長した姿を見せてくれたようです。そんな彼女の姿を見て、私も少し救われた気がしました。
保健室に入ると、今日も様々な児童たちが訪れてきます。些細な悩みから深刻な問題まで、彼らの心と体の健康を守るのが私の仕事です。時に厳しく、時に優しく、でも常に彼らの立場に立って考える。そんな姿勢を心がけています。
今日もまた、新たな挑戦が待っているでしょう。私の過去の影に怯えることなく、目の前の子どもたちと向き合っていく。それが今の私にできる最善のことだと信じています。
ただ、心のどこかで不安が渦巻いています。私の過去が明らかになったとき、この学校で私はどうなるのだろうか。児童たちや先生方は、私をどう見るのだろうか。
それでも、今は目の前のことに集中するしかありません。子どもたちの健康と成長を見守り、時には背中を押す。そんな毎日を大切に過ごしていきたいと思います。
明日はどんな出来事が待っているのでしょうか。私の「放課後カルテ」は、まだまだ続いていきます。