第6話あらすじ【あのクズを殴ってやりたいんだ】ネタバレ
私、佐藤ほこ美は、ついに言ってしまった。あの金髪のクズ、葛谷海里に対する想いを。
でも、返ってきた答えときたら何なの?「付き合う?…今のままでいいじゃん」だって? あんたの「今のまま」って何よ!煮え切らない態度で、結局何も変わらないじゃない。これだからクズ男は…!
このモヤモヤした気持ち、この憤り、この悔しさ…全部、全部ボクシングにぶつけてやる!パンチバッグに向かって打ち込む拳の一発一発に、海里への想いと怒りを込めて。クズ男に振り回されるのはもう嫌なの。私は変わるの。もっと強くなって、誰にも泣かされない女になってみせる!
そんな時、チャンスが巡ってきた。別のジムでスパーリングができる「出稽古」の話。この機会を逃すものか。今の私に必要なのは、新しい刺激と、もっと強い相手と戦うことだもの。
でも、海里の方は…相変わらず女遊びの過去と向き合ってるみたいね。ふん、勝手にすれば?…って強がってみても、気になって仕方ないんだけど。
そうこうしてるうちに、海里が大葉の紹介でミニバスケの試合撮影をすることになったって。そこで出会ったスポーツカメラマンの朝倉修太郎さんの写真に、海里が心を奪われたみたい。その目の輝きは…私が初めてボクシングに出会った時と同じ。
カメラマンとしての覚悟を決めた瞬間の彼の表情は、今までに見たことのないくらい真剣で…ああ、もう!なんで私、まだそんな彼のことを気にしてるの!?
でも、確かなのは一つ。私も海里も、それぞれの道を必死で探してる。私はボクシングを通じて、彼はカメラを通じて。この先どうなるかは分からないけど…今は自分の拳を信じて、前を向いて進むしかない。
そう、このモヤモヤした気持ちも、全部パンチに変えて、もっともっと強くなってやるんだから!
第6話あらすじ【あのクズを殴ってやりたいんだ】海里の語り
「付き合う?…今のままでいいじゃん」
そう言った瞬間、俺は自分の言葉の重みに気づいていた。ほこ美の真剣な告白に対して、またいつもの逃げ方をしてしまった。でも、今回は違う。ただの逃避じゃない。俺にはまず、向き合わなきゃいけないものがあるから。
これまでの自分。遊び半分で付き合ってきた女性たち。その一人一人と、ちゃんと向き合わなきゃいけない。なぜって?単純さ。このままじゃ、ほこ美みたいな真っ直ぐな女性と向き合う資格なんてないって分かってるから。
そんな時、大葉が持ってきた話がある。ミニバスケットの試合を撮影する仕事。子供たちの一瞬一瞬を切り取る。最初は軽い気持ちで引き受けたんだ。でも…
朝倉修太郎さん。その人の写真を見た瞬間、全てが変わった。
事務所に飾られていた一枚の写真。そこには、ただのスポーツの瞬間じゃない。人間の魂が宿っていた。汗が、涙が、喜びが、全てが永遠の一瞬として封じ込められている。まるで、ほこ美があの時見せた、ボクシングに向かう真摯な眼差しのように…
「これだ」
その時、心の中で何かが大きく動いた。今まで、カメラは俺の人生の付き合い方の一つでしかなかった。でも違う。これは、一生を懸けられる何かだ。朝倉さんの写真が教えてくれた。
だから決めた。スポーツカメラマン・朝倉修太郎のアシスタントに応募することを。これは逃げじゃない。むしろ初めて、何かに向かって真っ直ぐに進もうとしている。
ほこ美…お前が俺に教えてくれたんだ。何かに真剣に向き合うってことが、こんなに人を変えられるって。お前はボクシングと向き合い、俺はカメラと向き合う。
まだ、恋愛には正直になれない。でも、少なくとも写真には嘘をつかない。この一歩から、きっと何かが変わる。お前が強くなっていくように、俺も変わっていく。
そうさ、これが俺の覚悟。人生で初めての、本気の覚悟なんだ。
だから、もう少しだけ待ってくれないか?
俺が本当の意味で、お前の気持ちに応えられる男になるまで。
…なんて、こんな言葉、まだお前には言えないけどな。
でも、いつか必ず。カメラのファインダー越しに捉える世界が、俺の本当の気持ちを語ってくれる日が来るはずだ。