夏目友人帳漆ネタバレ5話!あらすじ考察!「ちょびの宝物」
あの白い龍を初めて見たのは、下校途中の夕暮れ時だった。
山の稜線に沿って、小さな光を散りばめながら悠然と空を泳ぐその姿は、まるで夢のようだった。
「あれは…龍?」
思わず立ち止まって見上げた空に、白い龍の姿は既になく、ただ夕焼けだけが残っていた。
それ以来、時折その姿を目にするようになった。
遠く山々の間を縫うように飛んでいたり、雲の合間からほんの一瞬だけ姿を見せたり。
「龍だと!?」
話を聞いたニャンコ先生は、急に目を輝かせた。
「吉兆の象徴だ!見つけ次第、すぐに追いかけるぞ!」
そう意気込む先生だったが、白龍はなかなか姿を見せてくれない。
先生が目を凝らしている時は決まって現れず、油断した瞬間にふわりと空を渡っていく。
「くそっ!また見逃したじゃないか!」
悔しがる先生の背中を、僕は苦笑いしながら撫でるのだった。
そんなある日のこと。
いつもの帰り道で、木陰に佇むちょびの姿を見つけた。
「どうしたの?」
声をかけると、普段は快活なちょびが、珍しく沈んだ様子で振り返った。
「あ、夏目…実は、大切な櫛が…」
差し出された手の平には、きれいな模様が彫られた櫛が、真っ二つに割れて載っていた。
「これ、白龍様からもらった櫛なの…」
ちょびの声は震えていた。
「白龍様?」
「ええ。随分昔、困っていた私に親切にしてくれて…」
話を聞けば、その櫛には特別な思い出が込められているようだった。
「なんとかしてあげたいな」
帰り道、僕は考えていた。
ふと空を見上げると、また小さな光が山の向こうへ消えていくのが見えた。
その時、僕はある考えが閃いた。
「犬の会の皆さん、お願いがあります」
翌日、中級妖怪の集まる犬の会を訪ねた。
「白龍を探している、ですって?」
「はい。ちょびさんの櫛の件で、どうしても会ってみたいんです」
最初は興味本位で集まってきた面々も、事情を話すと真剣な表情になってくれた。
「よーし!みんなで手分けして探すぞ!」
「私は東の山を見てみます」
「僕は川沿いを探してみるよ」
こうして思いがけず大がかりな捜索が始まった。
空には様々な妖怪たちが飛び交い、地上では犬の会の面々が走り回る。
その中心で、ニャンコ先生は得意げな顔をしていた。
「ふっ、こうなったら吉兆も逃がすものか」
夕陽が傾きはじめ、小さな光の粒が風に乗って舞い始めた。
僕たちの物語は、まだ続いていく。
夏目友人帳漆ネタバレ5話!あらすじ感想と考察
放送後に投稿します。