モンスターネタバレ6話あらすじ 亮子の語り
12年ぶり。その時が来た。
法廷で父と対峙する。私にとっては、まるでチェスの対局のような心地よさがある。感情に流されることなく、ただ論理と法律という武器を携えて、勝負に挑むだけ。
杉浦は心配そうな顔をしている。「大丈夫ですか?」と何度も聞いてくる。私には父との複雑な関係なんて、もはやどうでもいい。むしろ、あの百戦錬磨の粒来春明と渡り合えることが、心の奥底で楽しみですらある。
しかし、岡本プレミアクリニックの治療の適切性を証明するのは容易ではない。父の手の内を知る私には、それが分かっている。だからこそ、別の切り口が必要だった。
看護師の梶田素子。マサルの死後、多額の遺産を受け取ったその女性こそが、私たちの突破口になる。過去にも似たようなトラブルがあったという情報は、まるで運命のように私の元に転がり込んできた。
杉浦だけは反対する。「素子さんはそんな人じゃない」と。彼の優しさが時として邪魔になることは分かっている。でも、それが彼の魅力でもある。真実を見極めようと自ら入院までする姿に、思わず苦笑してしまう。
そして、もう一つの謎。マサルが密かに書き換えていた遺言書。エマも知らなかったその文書の存在が、私の直感を刺激する。城野に調査を依頼したのは、単なる証拠集めではない。この事件の本質に迫る鍵が、そこに隠されているような気がしてならない。
父との対決は、まるでゲームのような興奮を私にもたらす。でも、それ以上に大切なのは、依頼人であるエマの正義を勝ち取ること。感情を排除し、冷静に。それが私のやり方。
モンスターと呼ばれようと構わない。この法廷で、私は必ず真実にたどり着く。たとえ相手が父であっても、いや、父だからこそ、全力で挑むつもりだ。
12年の時を経て、私たちはついに再会した。でも、それは父と娘としてではない。弁護士として、対等な立場で向き合うために。
そう、これこそが私の望んでいた再会の形なのかもしれない。
モンスターネタバレ6話あらすじ 粒来の語り
12年の歳月が、まるで一瞬のように過ぎ去った。
法廷で向かい合う亮子の姿は、私が知っていた娘とは全く違っていた。冷徹で、計算高く、そして何より—私に似すぎていた。父親として誇るべきなのか、それとも心を痛めるべきなのか。この複雑な感情を、私は未だに整理できずにいる。
私の離脱から12年。その間、彼女は最強の弁護士になった。しかし、その過程で何かを失ったようにも見える。感情を完全に排除し、まるでコンピュータのように事実だけを積み上げていく。そんな彼女の姿に、どこか自分の影を見る。皮肉なものだ。
岡本プレミアクリニックの件は、単純な医療過誤事件ではない。サトウマサルへの治療は適切だった—私にはその確信がある。しかし、亮子は別の角度から攻めてくるだろう。彼女の考え方は分かる。私と同じように、勝利のために最も効率的な道筋を選ぶはずだ。
看護師の梶田素子を争点にするとは、さすがだな。私の娘だ。過去の類似事例まで調べ上げている。だが、それだけで勝てると思っているのか。この世界で30年以上戦い続けてきた私を相手に。
若い弁護士の杉浦が心配そうな目で亮子を見ている。彼は良い青年だ。感情を持ち、相手の痛みを理解できる。そんな彼が亮子の隣にいることは、父親として少し安心できる。ただ、法廷では彼の優しさは足枷になるかもしれない。
そして、遺言書の存在。亮子はそこにも目をつけた。鋭い。しかし、その真実に辿り着いたとき、彼女は何を感じるのだろうか。法廷という檻の中で、私たちは真実を巡って戦う。父と娘でありながら、今は敵同士。
12年前、私は彼女を置いて去った。その選択が正しかったのかどうか、今でも分からない。ただ、目の前にいる娘は、間違いなく一流の弁護士になった。感情を捨て、論理だけを武器に戦う娘。
私の血を引く者として、彼女は完璧な進化を遂げた。しかし父親として、その進化を喜んでいいものか。この矛盾する感情を抱えながら、私は法廷という戦場で、最愛の娘と向き合う。
勝負は、始まったばかりだ。亮子よ、お前の全てを見せてみろ。父である私が、最高の対戦相手になってやろう。たとえそれが、お前の中の最後の感情さえも凍らせることになったとしても—。