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十一人の賊軍ネタバレ!あらすじを簡単に解説!感想と考察も!!

目次

十一人の賊軍 あらすじネタバレ 主人公の政の語り

私は新潟の駕籠かき政。

貧しくとも、耳の不自由な妻のさだと二人で精一杯生きてきました。

さだは言葉を話せなくても、その優しい笑顔で私の心を癒してくれる、かけがえのない女房だったのです。

あの日、私は旅籠屋で恐ろしい知らせを聞きました。

新発田藩の侍・仙石善右エ門が、私の大切なさだを犯したというのです。

怒りに震える手に刀を握り、私は仙石を探し出して斬り殺してしまいました。

侍殺しの罪で死罪となり、牢に入れられた私。

そこで思いもよらない提案を受けるのです。

藩の家老・溝口内匠から「砦を守る決死隊として戦えば無罪放免にする」と。

初めは、新発田藩のために命を賭けることなど考えもしませんでした。

だが、もう一度さだに会える。

その一心で、私は決死隊の任を引き受けたのです。

決死隊には、私のような罪人が10人いました。

武士から金を巻き上げたイカサマ師の赤丹。

子を堕ろされた恨みで放火したなつ。

私を亡き兄と思い込んで逃がそうとしたノロ。

檀家の娘に手を出した破戒僧の引導。

医学を志してロシアへの密航を図ったおろしや。

貧困から一家心中を企てた三途。

侍の女房と禁断の恋に落ちた二枚目。

村人を大量に殺害した大悪党の辻斬り。

そして長州出身の剣術家で強盗殺人を犯した爺っつぁん。

私たちは、剣の達人・鷲尾兵士郎の指揮下、官軍の進軍を食い止める任務に就きました。

最初は、チャンスがあれば逃げ出そうとしました。

しかし、ノロが命がけで私を助けてくれたことで、少しずつ仲間たちへの思いが芽生えていきます。

やがて私たちは、衝撃の事実を知ります。

私たちは新発田藩の陽動作戦の駒に過ぎず、任務が終われば口封じのために殺されるというのです。

それでも鷲尾は「新発田の民を守るため」と、最後まで戦うことを選びました。

私たちは油田を爆破して官軍を足止めすることには成功します。

しかし、その代償として多くの仲間を失いました。

そして結局、新発田藩は私たち生き残りの始末にやってきたのです。

鷲尾は内匠との一騎打ちを望みましたが、卑怯にも銃で打たれ倒れました。

私は最期に、物見櫓で大量の焙烙玉と共に自爆し、新発田軍を道連れにすることを選びました。

さだよ、もう一度会いたかった。

でも、お前の無事を祈りながら、私は仲間たちと共に散っていったのです。

なつとノロが、私の形見の手ぬぐいと、家老の娘・加奈様から無罪放免の証としてもらった小判をお前に届けてくれるはず。

せめてこれで、お前が幸せな人生を歩めることを願っています。

私たちは、新発田藩から「賊軍」と呼ばれ、最期まで利用されただけの存在でした。

しかし、この11人の賊軍には、確かな絆がありました。

死に際まで、互いを思いやり、助け合った仲間たちとの日々は、私の人生で最も誇りある時間だったのかもしれません。

さだよ、許してくれ。

もう二度と会えないが、私は最期まで、お前のことを想い続けていたのだから。

十一人の賊軍ネタバレ キャスト紹介

主演の山田孝之さんが演じる政は、妻を想う一途な愛と復讐、そして仲間との絆に目覚めていく姿が胸を打ちます。

特に、ノロを弟のように思いやるシーンでは、山田さんの繊細な演技力が光ります。

仲野太賀さん演じる鷲尾兵士郎は、剣の道を極めながらも藩のために命を賭ける覚悟を持った武士の魂を見事に体現しています。

特筆すべきは、千原せいじさん扮する破戒僧・引導の存在感です。

コメディアンとしてのイメージを覆す渾身の演技で、罪を背負いながらも仲間の供養を欠かさない侠気のある僧侶を見事に演じきっています。

尾上右近さんが演じる赤丹は、イカサマ賭博師でありながら芯の通った男気を感じさせる演技が印象的です。

鞘師里保さん演じるなつは、映画に重要な女性性を持ち込み、罪人たちの心の機微を掬い取る存在として光ります。

佐久本宝さんのノロは、政を亡き兄と慕う純粋さと、花火師の息子としての才能が見事に表現されています。

特に焙烙玉のシーンでは、その存在感が際立ちます。

岡山天音さん演じるおろしやは、医学への夢を持ちながらも時代に阻まれた青年の苦悩を繊細に表現しています。

阿部サダヲさんが演じる溝口内匠は、藩を守るために非情な決断を下す家老としての重圧と苦悩を見事に演じきっています。

特に最後の場面での、娘を失った父としての悲しみの表現は圧巻です。

玉木宏さんの山縣狂介は、新政府軍の冷徹な参謀として、その存在感は群を抜いています。

野村周平さん演じる入江数馬は、家老の娘婿でありながら決死隊の隊長として板挟みになる苦悩を丁寧に表現しています。

ナダルさんの水本正鷹役も、コメディアンの顔を忘れさせる真摯な演技が印象的です。

本山力さんの爺っつぁんは、長州出身の剣術家として、その迫力ある立ち回りシーンは必見です。

木竜麻生さんが演じる加奈は、父への想いと婚約者への愛に引き裂かれる藩主の娘としての苦悩を見事に表現しています。

この作品の素晴らしさは、脇を固める実力派俳優陣の存在感にもあります。

全ての出演者が、それぞれの役柄に魂を込めており、時代劇の新たな金字塔を打ち立てています。

白石和彌監督は、この豪華キャストの個性を存分に引き出し、戊辰戦争という激動の時代を背景に、人間の業と魂の物語を見事に描き切りました。

十一人の賊軍ネタバレ スタッフ紹介

白石和彌監督が手掛けたこの作品は、日本映画史に新たな伝説を刻む快挙と言えます。

『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』で知られる白石監督は、時代劇というジャンルに新しい息吹を吹き込みました。

特に血みどろの殺陣シーンと人間ドラマの融合は圧巻です。

原案となる脚本家・笠原和夫さんの存在も特筆すべきです。

『仁義なき戦い』シリーズや『日本侠客伝』の脚本で知られる巨匠が1964年に書き上げた未完の企画が、約60年の時を経て遂に映画化されました。

脚本の池上純哉さんは、笠原和夫さんの魂が込められた原案を現代に蘇らせ、新しい解釈を加えることで見事な脚本に仕上げています。

音楽を担当した松隈ケンタさんの仕事も素晴らしく、激しい戦闘シーンから心に染みる情感的なシーンまで、見事な音楽で彩っています。

特に、Dragon Ashの「Straight Up feat. JESSE」をキャンペーンソングに起用したのは絶妙な選択でした。

撮影監督の池田直矢さんによる映像美も特筆に値します。

新潟の雄大な自然を背景に、迫力のアクションシーンと繊細な人間ドラマを見事に描き出しています。

照明の舘野秀樹さんと録音の浦田和治さんのコンボも素晴らしく、砦での戦闘シーンの臨場感を完璧に表現しています。

美術の沖原正純さんは、戊辰戦争期の新発田藩を緻密に再現し、時代考証にも抜かりがありません。

アクションコーディネーターの吉田浩之さんの仕事も見事で、リアルな殺陣シーンは息をのむほどの迫力です。

特殊メイクの中田彰輝さんの仕事も秀逸で、戦闘シーンでのリアルな傷や血のメイクは、作品の生々しさを際立たせています。

VFXスーパーバイザーの尾上克郎さんと神谷誠さんのチームワークも素晴らしく、特に油田爆発のシーンは圧巻の出来栄えです。

制作プロダクションのドラゴンフライエンタテインメントと東映の強力タッグにより、この壮大な企画が実現しました。

企画・プロデュースの紀伊宗之さんとプロデューサーの高橋大典さんの慧眼も称えるべきです。

60年前の幻の企画を現代に蘇らせ、新しい時代劇の金字塔を打ち立てる決断をしたことは、日本映画界にとって大きな功績となりました。

このように、各部門の精鋭たちが結集し、魂を込めて作り上げた『十一人の賊軍』は、まさに日本映画の底力を見せつける傑作と言えるでしょう。

十一人の賊軍ネタバレ感想と評価

本作『十一人の賊軍』は、まさに日本映画の新たな金字塔と呼ぶにふさわしい傑作です。

特筆すべきは、時代劇という伝統的なジャンルに、現代的な解釈と普遍的なテーマを見事に織り込んでいる点です。

まず、アクションシーンの迫力は圧巻です。

ワイヤーやCGに頼り過ぎることなく、生身の殺陣と実写の爆破シーンを組み合わせることで、観る者の心を揺さぶる生々しい戦闘シーンが実現しています。

特に、吊り橋での戦いや、油田爆破のシーンは息をのむほどの迫力があります。

しかし、本作の真髄は、そのアクション以上に人間ドラマの深さにあります。

政と妻のさだとの純愛、ノロと政の擬似的な兄弟愛、鷲尾の武士としての矜持、なつの母性的な包容力など、それぞれのキャラクターが持つ人間性が見事に描かれています。

また、戊辰戦争という激動の時代を背景に、「正義とは何か」「命を賭けて守るべきものとは」という普遍的なテーマを投げかけている点も秀逸です。

新発田藩の家老・溝口内匠の苦渋の選択は、現代の指導者たちが直面する決断の重さと重なります。

罪人たちの人間性や心の機微も丁寧に描かれており、単なる”悪人”ではない、その人生の複雑さが胸を打ちます。

音楽も素晴らしく、時代劇でありながらDragon Ashの楽曲を起用するという斬新な選択が、作品の現代性を際立たせています。

撮影における新潟の雄大な自然の描写も見事で、人間ドラマに壮大なスケール感を与えています。

衣装や美術も細部まで作り込まれており、時代考証の正確さは特筆に値します。

もちろん、いくつかの課題も見受けられます。

例えば、155分という上映時間は、一部の観客には少し長く感じるかもしれません。

また、グロテスクな描写が含まれるため、すべての観客層には適さない可能性があります。

しかし、これらは作品の本質的な価値を損なうものではありません。

むしろ、その生々しさこそが、戦争や権力闘争の非情さを伝える重要な要素となっています。

結論として、本作は単なる時代劇アクション映画の枠を超え、人間の業と魂の物語として深い感動を呼び起こす傑作です。

白石和彌監督とキャスト・スタッフの熱意が結実した本作は、間違いなく2024年を代表する日本映画の一本となるでしょう。

戊辰戦争という歴史的背景を持ちながら、現代にも通じるメッセージを投げかける本作は、必見の価値ある作品です。

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