夏目友人帳ネタバレあらすじ9話!夏目の語りで
小さい頃から、時々変なものが見えた。
僕はまた、不思議な出来事に巻き込まれることになった。
名取さんからの電話は、いつものように突然だった。
頼島さんの旧邸から本を取り出してほしいと頼まれたという。
その代わりに、庭に実るびわを好きなだけ収穫していいと言われたそうだ。
ニャンコ先生は最初、「また面倒なことに巻き込まれるぞ」と警戒していたけれど、びわの話を聞いた途端に態度が変わった。
「ふん、まあ付き合ってやろうじゃないか」。
そんな風に強がっていたけれど、甘い物には目がない先生のことだから、きっと最初から行く気だったんだと思う。
古びた頼島邸に着くなり、先生は早速びわの木に目を向けていた。
青々とした葉の間から覗く黄色い実が、初夏の日差しに輝いていて。
そんな穏やかな時間が続くと思っていた。
でも、いつもそうだように、その平穏は長くは続かなかった。
風に乗って一枚の旗が飛んできた時、僕は既に何かが起きることを予感していた。
旗の紐は、誰かにハサミで切られたような跡が残っていて。
隣の屋敷から飛んできたその旗を手に、僕たちは近づいていった。
そこで待っていたのは、思いもよらない人物たち―的場一門の人々だった。
三春家。
由緒ある家で、護り神・三柱様を迎える大切な儀式の最中だという。
名取さんが気付かずに術式を解いてしまったせいで、僕たちも手伝うことになってしまった。
的場さんに従って屋敷内を巡る中、何か違和感が僕の中で大きくなっていった。
この屋敷の中に、儀式を妨害しようとする者が潜んでいる。
名取さんの式である柊さんも同じものを感じ取ったようで、その気配を追って行った。
僕とニャンコ先生は別の方向へ。
廊下を進んでいく中、突然声をかけられた。
振り向くと、そこには一匹の妖がいた。
「三春に消えてほしい」。
その言葉の意味を考える間もなく、僕たちは屋敷の仕掛けの落とし穴に落ちてしまった。
後で知ったことだけれど、名取さんと的場さんも別の場所で部屋に閉じ込められていたという。
護り神はもう玄関まで来ているというのに、僕たちは全員がピンチに陥っていた。
人と妖の世界が交わるとき、いつも何かが起こる。
でも、そんな時にこそ見えてくるものがある。
この物語は、きっとまた新しい出会いと気づきをもたらしてくれるんだろう。
そう思いながら、僕は暗い穴の底で次の展開を待っていた。
夏目友人帳ネタバレあらすじ9話!ニャンコ先生の語りで
ふん、また夏目のバカが面倒なことに首を突っ込みおって。
名取とかいう厄介な奴から電話があった時点で胡散臭いと思っていたんだ。
まあ、びわがタダで食べ放題と聞いては、このニャンコ先生とても行かないわけにはいかなかったがな。
頼島の旧邸というのは、昔から妖の気配が濃い場所だった。
あの化け物屋敷で本なぞ探す羽目になるとは。
だが、びわの実がたわわに実る様子を見た瞬間、この偉大なるニャンコ先生の心は決まった。
「ふむ、たまにはこういう気分転換も悪くないな」なんて強がってみせたものの、実は甘い実には目がない。
収穫に夢中になっていた時だ。
突然、風に乗って一枚の旗が飛んできたと思ったら、またしても厄介なことに巻き込まれることになった。
隣の屋敷というのが曲者だ。
なんと的場一門が陣取っているではないか。
三春家の護り神を迎える儀式だと?笑わせる。
そもそも人間風情が、妖の力を借りて何がしたいというのだ。
だが、夏目のバカが例によって首を突っ込むもんだから、この素晴らしき姿の持ち主であるニャンコ先生も付き合わざるを得ない。
名取の式である柊が怪しい気配を追いかけていったが、アレはアレで役立たずだ。
結局、夏目と私で別行動を取ることになったが、これがまた失敗の始まりだった。
妖に声をかけられたと思ったら、「三春に消えてほしい」だと?
ちっ、結局落とし穴に落ちてしまうし。
こんな屈辱、誰にも言えんな。
本来なら、この偉大なる者が化けの皮を剥いで本来の姿になれば、こんなものは一瞬だというのに。
でもまあ、夏目が心配そうな顔をしているから、もう少しこの姿でいてやろう。
なにせ私は夏目の用心棒なのだからな。
ふん、護り神が来ているだの、名取と的場が閉じ込められただの。
結局、私がなんとかしてやらねばならんのだろう。
ま、びわの実も食べたことだし、このくらいは付き合ってやるか。
だが、これで今日のびわ狩りが台無しになったら承知しないからな!
ったく、人間の世界にも妖の世界にも通じている夏目がいるせいで、私まで面倒なことに巻き込まれる。
…でもまあ、退屈はしない。
これも友人帳の守り人として、仕方のないことか。
ふん、まったく。
夏目友人帳ネタバレあらすじ9話!名取の語りで
頼島さんから依頼を受けた時、直感的に夏目君を誘おうと思った。
旧邸から本を取り出すだけの簡単な仕事のはずだった。
庭のびわも好きなだけ収穫していいと言われて、あの猫も喜ぶだろうと思ったんだ。
私は長年、エクソシストとして妖を祓う仕事をしてきた。
でも夏目君と出会って以来、妖との関わり方が少しずつ変わってきている。
彼の優しさに触れるたび、私の中の何かが揺さぶられる。
その日も、いつものように彼の純粋な眼差しに、どこか救われる思いがしていた。
だが、物事は思わぬ方向へ進んでいく。
隣家から飛んできた一枚の旗。
切られた紐。
そして、思いもよらない再会―的場一門との。
三春家での護り神を迎える儀式。
私は不注意にも術式を解いてしまった。
申し訳ない気持ちと同時に、これは運命なのかもしれないと思った。
的場との因縁は深い。
彼らと関わるたび、私の中の闇が蠢く。
でも今は、夏目君を巻き込んでしまったことが何より心配だった。
柊が怪しい気配を追っていったとき、私の心にも違和感が募っていた。
そして的場と合流し、玄関へ向かう途中。
物音に誘われるように覗いた部屋で、私たちは閉じ込められてしまった。
空気が薄くなっていく。
的場と二人、狭い部屋の中で。
皮肉なものだ。
かつての確執を持つ者同士が、同じ窮地に追い込まれるなんて。
夏目君は大丈夫だろうか。
あの猫となら、きっと…。
でも、この状況で彼に頼ることは、また彼を危険に晒すことになる。
護り神はもう来ているというのに。
私たちエクソシストが、こんな状況では。
額を伝う汗が、私の焦りを物語っている。
窓を割ることも、扉を開けることもできない。
この術は相当な腕の持ち主のものだ。
私は役者として、そしてエクソシストとして、多くの経験を重ねてきた。
でも時々、夏目君の純粋さに触れると、自分の経験など取るに足らないものに思えてくる。
今、彼はどこで何を見ているのだろう。
人と妖が交錯する世界で、私たちは何を見出すべきなのか。
それを教えてくれるのは、いつも夏目君なのかもしれない。
この閉じ込められた空間で、私は深く考えさせられていた。
解決の糸口は、きっと彼が見つけてくれる。
そう信じながら、私は次の一手を模索していた。