【あのクズを殴ってやりたいんだ】第7話ネタバレあらすじ〜ほこ美視点
プロボクサーになるという新しい夢を見つけた私は、毎日の練習にウェイトトレーニングも加わって、少しずつですが確実に前に進んでいます。
最初は不安でいっぱいでしたが、ジムの皆さんに支えられて、少しずつ自信がついてきました。
海里さんと付き合えることになって、毎日がキラキラと輝いて見えます。
以前は結婚式で逃げられた傷が癒えることはないと思っていましたが、今は新しい幸せを感じられるようになりました。
練習は本当に大変です。
汗を流し、時には涙を流しながら、それでも毎日続けています。
好きな人に応援されながら頑張れることが、こんなにも心強いなんて思いもしませんでした。
海里さんの「立て!ほっこー!」という声が、私の心の支えになっています。
ただ、仕事で大きなミスをしてしまいました。
市役所から支給されているノートパソコンを紛失してしまったのです。
このミスは単なる物をなくしたということ以上の意味を持っています。
市民の大切な情報を預かる立場として、あってはならない失態でした。
同期の撫さんから思いもよらない言葉を投げかけられ、胸が痛みます。
「あなたばかり幸せになるなんて許せない」という言葉の裏には、きっと私には見えていない撫さんの苦しみがあるのかもしれません。
なぜ、こんな風に歪んでしまったのでしょうか。
今まで仲良くしてきた同期なのに、私の幸せを喜んでくれないなんて…。
人の幸せを素直に喜べない気持ち、それは私にもあったのかもしれません。
だからこそ、撫さんの気持ちも少しは分かるような気がして、より一層胸が苦しくなります。
さらに、海里さんとの関係にも暗い影が差し始めています。
昔のスパーリング仲間との再会で、彼の表情が曇っているのが分かります。
カメラマンとしての道を歩み始めた矢先のことです。
せっかく前を向き始めた海里さんなのに、また過去の記憶に苦しめられているようで、どうしたらいいのか分かりません。
「あの試合」の記憶が、まだ彼の心の奥深くで傷として残っているのでしょう。
私にできることは、ただ傍にいて支えることだけなのでしょうか。
もっと力になりたいのに、今の私には何もできません。
この試練を乗り越えて、もっと強くなれたら、きっと海里さんの力にもなれるはず。
だからこそ、今は自分の道を真っ直ぐに進むしかないのだと、そう信じています。
一歩一歩、確実に。
たとえ遠回りでも、私は諦めずに歩き続けます。
時には転んで、傷つくこともあるでしょう。
でも、もう逃げ出すことはしません。
それが、今の私にできる精一杯の恋の形なのかもしれません。
プロテストに向けての準備も、仕事での信頼回復も、友人との関係修復も、そして海里さんとの恋も、全てが私の人生の大切なピースです。
一つ一つ、丁寧に向き合っていこうと思います。
それが、新しい私の生き方なのですから。
【あのクズを殴ってやりたいんだ】第7話ネタバレあらすじ〜海里の語り
朝倉さんの下でカメラマンとしての修行を始めました。
毎日がまるで試練の連続です。
写真には厳しい評価が続きますが、ほこ美が諦めないように、僕も諦めるわけにはいきません。
「逃げるな」という朝倉さんの言葉が、まるで過去の自分への戒めのように響きます。
被写体から目を逸らすな、その言葉の意味は写真以上のものを指しているような気がしてなりません。
そんな中、急遽入った取材で思いがけない再会がありました。
井崎との再会は、僕の心を大きく揺さぶります。
まさか彼がプロとして活躍しているなんて。
あの日から7年。
スパーリング相手だった先輩を失って以来、ボクシングのリングから逃げ続けてきた自分がいます。
「もしあの時、違う判断をしていれば」
その後悔は、今でも僕の心の奥深くに棲みついています。
カメラの向こう側に立つ井崎を見ていると、あの日の記憶が鮮明によみがえってきます。
リングの上で交わした約束。
夢を語り合った日々。
そして、あの取り返しのつかない瞬間。
僕は本当に前を向けているのでしょうか。
ほこ美との出会いで、少しずつ変われると思っていました。
彼女の一生懸命な姿に、自分も変わらなければと思えたのです。
初めて、誰かと本気で向き合おうと思えた。
けれど、過去は簡単には消えてはくれません。
写真が認められないのも、きっと僕がまだ何かから逃げているからなのでしょう。
被写体と真摯に向き合えていない。
それは、自分自身とも真摯に向き合えていないということかもしれません。
ファインダーを覗く度に、どこか焦点がぼやけているような感覚。
それは僕の心そのものを映し出しているのかもしれません。
一方で、ほこ美の様子も気になります。
市役所でのトラブルで、彼女の表情が曇っているのが分かります。
同期の撫さんとの関係も、どこかぎくしゃくしているようです。
職場での彼女の居場所が、少しずつ狭まっているように見えます。
助けたいのに、今の自分には彼女を支える力さえないのかもしれません。
これまで、本気で誰かと向き合うことを避けてきました。
恋愛も遊びで済ませて、誰かを本気で好きになることから逃げ続けていた。
深く関わることで生まれる痛みが怖かったのです。
でも、ほこ美は違います。
彼女との出会いは、僕の人生を大きく変えました。
諦めかけていた夢を、もう一度見つめ直すきっかけをくれた。
だからこそ、今度は僕が彼女の力になりたい。
それには、まず自分自身と向き合わなければならないのでしょう。
過去の記憶と。
あの日の後悔と。
そして、今の自分の本当の気持ちと。
井崎との再会は、そんな僕に大きな転機をもたらすことになります。
彼は夢を諦めずに、真っ直ぐに前を向いて歩いてきた。
その姿は、僕への無言の問いかけのようでもあります。
変わらなければいけない。
カメラマンとしても、一人の人間としても。
ほこ美が自分の夢に向かって頑張っているように、僕も自分の道を見つけなければ。
たとえそれが、また痛みを伴うものだとしても。
もう逃げることはできないのです。
これが、僕なりの愛し方なのかもしれません。
まだ上手く言葉にできない気持ちを、ファインダー越しに切り取ることで、少しずつ形にしていけたらと思います。
時には手ブレして、ピントが合わないこともあるでしょう。
でも、それも含めて今の僕なのかもしれません。
そうすれば、いつか僕も、ほこ美のように前を向いて歩けるようになれるはずです。
過去に縛られることなく、未来を見つめられる人間に。
そして、彼女と共に歩んでいける強さを持った人間に。
まだその道のりは遠いかもしれませんが、一歩ずつでも進んでいこうと思います。
それが、写真を撮ることの本当の意味なのかもしれません。
生きることの、愛することの、そして前を向くことの証として。
【あのクズを殴ってやりたいんだ】第7話ネタバレあらすじ〜撫の語り
ほこ美が市役所から支給されているノートPCを紛失したことを知りました。
なんて不注意なんでしょう。
でも、それよりも腹が立つのは、彼女の幸せそうな様子です。
プロボクサーを目指すなんて、どこまで自分を特別だと思っているのでしょうか。
私だって、これまでどれだけ努力してきたことか。
地味な仕事を黙々とこなして、上司の機嫌を伺って、同僚との関係も慎重に築いてきました。
なのに、ほこ美は違います。
周りのことなど気にせず、自分の好きなように生きている。
そんな彼女にイケメンの彼氏までできて、なんて理不尽なんでしょう。
あの海里さんと付き合えるなんて。
まるで少女漫画の主人公みたいに、全てが上手くいってしまう。
私はずっと我慢してきました。
誰かのために自分を押し殺して、笑顔を作って、そうしながら一歩一歩前に進もうとしてきたのに。
なのに、ほこ美は何一つ我慢することなく、自分の思い通りに生きている。
それなのに、周りの人たちは彼女を認めて、応援して。
この不公平さに、私の心は日に日に歪んでいきます。
表面上は、同期の仲の良い友人を演じています。
でも、本当は違う。
彼女の幸せは、私の胸に棘のように刺さります。
周りからは「ほこ美と仲良しな撫さん」と思われているでしょう。
けれど、その仮面の下では、違う私がいるのです。
相澤さんと協力して、少しずつほこ美の居場所を狭めていく。
それが今の私にできる、精一杯の抵抗なのかもしれません。
このPCの紛失も、きっとチャンスです。
彼女の不注意を、みんなに知ってもらういい機会。
完璧じゃない彼女の姿を、周りの人に見せられる。
「全然かわいくないし、地味だし、女子力低いし、真面目でつまらない女」
本当はこんな言葉を投げかけたくはありませんでした。
でも、抑えきれない感情が、私の中から溢れ出してしまう。
きっと、私は彼女を羨ましく思っているのでしょう。
自分の思い通りに生きられる強さが。
誰かに必要とされる存在である幸せが。
そして、本気で誰かを好きになれる純粋さが。
それらの全てが、眩しすぎて直視できません。
だから、私は影から彼女を貶めることしかできない。
これが正しいことだとは思っていません。
むしろ、自分の醜さに気付くたびに、胸が痛みます。
けれど、もう後戻りはできない。
この歪んだ感情は、きっと私の中で大きくなる一方でしょう。
そうして、私とほこ美の間には、取り返しのつかない溝が広がっていく。
それでも、私は彼女の幸せを壊したくて仕方がないのです。
それが、コンプレックスに苦しむ私の、唯一の生きる証なのかもしれません。
いつか、この感情に打ち勝てる日が来るのでしょうか。
それとも、私はずっとこの闇の中で、彼女を恨み続けるのでしょうか。
それすらも、まだ分からない。
ただ、確かなのは、今の私には、彼女の幸せを素直に喜べる器がないということ。
それが、今の私の悲しい現実なのです。