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マイダイアリー あらすじネタバレ第1話〜最終回まで!

清原果耶主演のドラマ「マイダイアリー」あらすじネタバレします。大学生活に物足りなさを感じていた優希が、数学の天才・広海との出会いを通じて、人生の新たな1ページを開く。

目次

マイダイアリー ネタバレあり第1話 あらすじ (広海視点)

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冷めたポップコーンを一粒ずつ食べながら、僕は彼女の横顔を見つめていた。映画館を出てからずっと、優希は何か言いたげな表情を浮かべている。水辺に腰を下ろした僕たちは、映画の感想を語り合った。そして——突然の出来事だった。彼女が寄り添ってきて、そっと唇を重ねてきたのだ。

涙を浮かべながら空になったポップコーンの箱をゴミ箱に捨てる優希を見て、僕は2年前の春のことを思い出していた。

あの日、桜の木の下で僕は熱中して数式を書いていた。理学部数学科の学生である僕にとって、それは日常的な光景だった。ところが、その日に限って僕は不注意にもリュックを置き忘れてしまった。その時は気づかなかったが、それが彼女との出会いのきっかけになるとは。

リュックをなくして途方に暮れていた僕を助けてくれたのは、初対面の虎之介だった。彼は学食で僕にお金を貸してくれ、リュック探しを手伝ってくれた。そして、その過程で教育学部の優希たちと出会うことになる。

優希は当時、和馬という彼氏がいた。彼女の優しさが仇となって、関係が終わりを迎えたと後から知った。「映画を観る時、最初に少しだけ食べて、残りは気を使って食べている」という和馬の言葉が、今の僕には痛いほど分かる。それが優希という人間の本質だから。

まひる、愛莉も加わって、僕たち5人は意外なほどすんなりと打ち解けていった。合唱したり、一緒に映画を観たり。特に優希との映画鑑賞は、僕にとって特別な思い出となった。

社会人1年目の今、映画を観終わった後の彼女のキスには、きっと2年前から積み重なってきた何かが詰まっているのだろう。優希の涙の理由を、僕はまだ知らない。でも、これから少しずつ紐解いていけそうな気がしている。

ポップコーンの味は、いつだって記憶の味がする。

マイダイアリー ネタバレなし第1話 あらすじ (広海視点)

僕は徳永広海。幼い頃からずば抜けた数学の才能を持つギフテッドとして注目されてきた。でも、それは同時に僕を孤独へと追いやった。クラスメイトたちとの温度差、理解されない苦しみ。結局、僕はホームスクーリングを選んだ。人との距離感がわからなくなってしまった。

アメリカの大学に進学したものの、そこでも馴染めず挫折。今は日本の大学に3年生から編入したばかりだ。新しい環境、新しい人間関係。正直、不安でいっぱいだった。

そんな春の日、僕は桜の木の下で数式を書いていた。桜の美しさを数学で表現できないかと必死だった。そこへ一陣の風が吹き、僕の書いた紙が舞い上がる。それを拾ってくれたのが、彼女との出会いだった。恩村優希。僕は慌てふためき、リュックを置いたまま逃げるように立ち去ってしまった。

気がつけば財布の入ったリュックを忘れ、学食で立ち往生。そこで僕を助けてくれたのが和田虎之介だった。彼の人懐っこさに少し戸惑いながらも、久しぶりに誰かと会話を交わす。でも、まだ心の奥底では「友達なんて必要ない」と思っていた。

優希たちと再会した時も、僕は素っ気なく立ち去ってしまう。人と深く関わることへの恐れが、まだ僕の心を支配していたから。

それでも、運命はいたずらに僕を彼らに引き寄せる。帰りのバスで優希と再会し、眠っている小学生の女の子・美雪のために、僕たちは終点まで乗り続けることに。美雪と『怪獣のバラード』の話をしていると、少しずつ心が和らいでいくのを感じた。でも、合唱の話題になると、またしても孤独感が押し寄せる。「ずっと1人だったから」という言葉が、思わず口をついて出た。

優希の「私は優しくない」という言葉に、僕は不思議と共感を覚えた。彼女の話を聞いているうちに、映画に誘っていた。ポップコーンを一緒に食べ切った瞬間、なぜだか心がじんわりと温かくなった。

そして、みんなで『怪獣のバラード』を歌うことに。最初は戸惑い、緊張していた僕。でも、優希たちの明るい歌声に包まれているうちに、自然と声が出てきた。歌い終わった後の達成感、みんなと共有した喜びは、僕にとって新鮮な体験だった。

初めて誰かに「ありがとう」と深々と頭を下げた。心からの感謝の気持ちが湧き上がってきて、どう表現していいかわからなかった。

この5人との出会いが、僕の人生を少しずつ変えていく。心の殻が溶けていくような、そんな感覚。でも同時に、不安も感じる。本当に僕は変われるのか。そして2年後、なぜ優希と別れることになるのだろう。その答えはまだわからない。

ただ、確かなのは、僕の人生に少しずつ光が差し込んできたこと。これからどんな日々が待っているのか、少し期待と不安が入り混じる。でも、もしかしたら、この5人となら、今までとは違う自分を見つけられるかもしれない。そう思えた、春の終わりの日だった。

マイダイアリー ネタバレ第1話 あらすじ (優希視点)

私は恩村優希。大学3年生になったばかりの春、何か物足りなさを感じていた。残りの大学生活をどう過ごせば悔いがないのか、そんなことを考えていた矢先、彼との出会いがあった。

桜の木の下で、夢中で数式を書いている彼。徳永広海。私の人生を少しずつ、でも確実に変えていく人。最初の出会いは、風に舞った彼の書いた紙を拾ったことだった。目が合って、何か特別なものを感じた瞬間。でも彼は慌てて立ち去り、リュックを置き忘れてしまった。

友達のまひると愛莉と一緒に、そのリュックの持ち主を探すことに。そこで出会ったのが和田虎之介。彼の人懐っこさに、まひるも愛莉もタジタジ。でも、なぜか私は彼の優しさが心地よかった。

広海と再会したのは、虎之介のバイト先のファミレス。でも彼は素っ気なく立ち去ってしまった。どこか寂しげな後ろ姿が、妙に印象に残った。

その後、私は彼氏と別れることになる。映画館でのポップコーンの食べ方。私の「優しさ」が、実は相手を苦しめていたなんて。自分の「優しさ」って何だろう。そんなことを考えていた時、偶然にも広海とバスで再会する。

眠っている小学生の女の子・美雪のために、私たちは終点まで乗り続けることに。広海の「13度探しゲーム」は少し奇妙だけど、どこか魅力的だった。彼の目が輝いているのを見て、心がざわついた。

美雪を無事に送り届けた後、広海に「優しい」と言われて、思わず本音が漏れた。「私は優しくない」。すると彼は私を映画に誘ってくれた。「フライングシャーク」。なんだかおかしな題名だけど、彼と一緒に観る映画は特別な気がした。

ポップコーンを気兼ねなく食べられること。それが私にとってどれだけ大きな意味を持つのか、彼は分かってくれたみたい。映画が終わって、ポップコーンの容器が空になった瞬間、なぜだか涙が出そうになった。

その後、みんなで『怪獣のバラード』を歌うことに。広海の戸惑った表情、でも徐々に溶け込んでいく姿に、胸が熱くなった。歌い終わった後、彼が深々と頭を下げて「ありがとう」と言った時、私の中で何かが動いた気がした。

帰り道、広海は私に桜の数式を見せてくれた。その時の彼の笑顔が、まぶしくて仕方なかった。家に帰って、その数式を見せながら、亡き母に話しかけていた自分がいた。

この春、私の人生に新しい風が吹き始めた。広海との出会いが、私の中の何かを変えていく。でも2年後、私たちはなぜ別れることになるのだろう。その答えはまだ分からない。ただ、これから始まる物語が、きっと私の人生で大切な1ページになると確信していた。

そう、これは私たちの青春の物語。まだ見ぬ未来へ向かって、一歩ずつ歩み始めた春の日の記憶。私のダイアリーに、新しいページが加わった瞬間だった。

2話ネタバレ【マイダイアリー】 – 心配性同盟の優希の思い出

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今日、机の引き出しから古い絆創膏が出てきた。

使い古された紙箱に入った、もう何年も前のもの。

そう、あの頃から私は誰かが怪我をするんじゃないかと心配で、いつも持ち歩いていた。

でも私一人じゃなかった。

大学で出会った虎之介も同じだった。

私たちは”心配性同盟”と呼んでいた。

些細なことを気にする二人を見て、愛莉は呆れ顔だったけど。

虎之介は人懐っこくて、自然と私たちの輪に溶け込んでいった。

でも今思えば、彼の優しさには影があった。

あの日のことを思い出す。

企業インターンの面接を控えた虎之介が、練習に付き合ってほしいと私たちに頼んできた。

数学科の広海や教育学部の私たちと違って、虎之介はまだ進路が定まっていなかった。

だから余計に真剣だった。

でも結局、その面接に彼は遅刻してしまう。

理由を聞いて、私は虎之介らしいなと思った。

ファミレスで働く彼が、いつも夜10時に来る常連客・美鈴さんが雨に濡れてうずくまっているのを見かけたという。

傘を差し出し、家まで送り、片付けを手伝い、眠れないという彼女に朝まで付き添ったんだと。

「もしかして、ここから始まったりするのかなぁ、恋が」

そう茶化すように言った虎之介に、愛莉は珍しく強い口調で言った。

「ありえない。そんな自分を犠牲にして誰かを癒してあげるなんて、そんな関係、恋なわけないじゃん」

その時の愛莉の言葉は、まるで刃物のように真実を切り取っていた。

虎之介は自分のことを「平凡な人間」と言った。

だから誰かに絆創膏を渡すような、そんな小さな親切しかできないのだと。

私にはその気持ちがよく分かった。

誰かの役に立てる、必要とされる、そんな確かな手応えを感じられる瞬間が嬉しかったから。

でも虎之介は変わることを選んだ。

美鈴さんのところへ行き、始まるかもしれなかった恋を自分で終わらせた。

そして私たちは”塩ラーメンを食べる会”を開いた。

失恋を癒すために。

「これからは自分と、自分の大事な人のために絆創膏を持ち歩く」

その言葉を聞いた時、私は少し寂しく、でも何だか誇らしい気持ちになった。

心配性同盟は終わらない。

ただ、もう少し自分たちのことも大切にしながら続いていく。

今でも私は絆創膏を持ち歩いている。

でも昔とは違う。

誰かのためだけじゃない。

自分のため、そして本当に大切な人のため。

それは虎之介から教わった、優しさの新しいかたちだった。

2話ネタバレ【マイダイアリー】 -虎之介の優しさの向き先

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絆創膏を持ち歩くのは、誰かが困っているときにすぐに助けられるからだ。

優希と僕は、それで”心配性同盟”なんて呼ばれていた。

平凡な僕にできることなんて、そういう些細な親切くらいしかない。

でも、それで誰かの役に立てるなら、それでいいと思っていた。

インターンの面接を明日に控えた夜のことだった。

バイト先のファミレスで、いつもの常連客の美鈴さんを見かけた。

夜10時。

いつもと同じ時間なのに、彼女は雨に濡れたまま店の前でうずくまっていた。

声をかけずにはいられなかった。

傘を差し出して、家まで送ることにした。

部屋の中はぐちゃぐちゃで、何かあったことは明らかだった。

「片付けを手伝います」

そう言って、朝まで彼女に付き添った。

眠れないと言う彼女の話を、ただずっと聞いていた。

結果、面接には遅刻してしまった。

でも、それ以上に気になっていたのは、自分の中の違和感だった。

優希たちに会って、その話をした時。

「もしかして、ここから始まったりするのかなぁ、恋が」

自分でも驚くような言葉が口をついて出た。

その時、愛莉が珍しく強い調子で言った。

「ありえない」

「そんな自分を犠牲にして誰かを癒してあげるなんて、そんな関係、恋なわけないじゃん」

その言葉は、まるで雷のように僕の中に響いた。

図星だった。

自分を犠牲にして誰かの役に立とうとする。

それは本当の優しさじゃないかもしれない。

「俺みたいな平凡な人間にはね、こう、けがしてる人に絆創膏あげるみたいな、そんくらいのことしか、できることってないんだよ」

言い訳のような言葉を口にした。

でも愛莉は正しかった。

美鈴さんのところへ行った。

始まるかもしれなかった恋を、自分で終わらせた。

その後、みんなが開いてくれた”塩ラーメンを食べる会”。

温かい塩ラーメンを前に、ふと気づいた。

自分を大切にしない優しさは、誰も幸せにしない。

優希に伝えた。

「誰かのためは最後にする」

「これからは、自分と、自分の大事な人のために絆創膏を持ち歩く」

今でも僕は絆創膏を持ち歩いている。

でも、その意味は変わった。

誰かの傷を癒すためだけじゃない。

自分の傷も、大切な人の傷も、同じように大切に手当てするために。

それが、僕が見つけた本当の優しさのかたちだった。

心配性同盟は終わらない。

ただ、もう少し自分に正直な形で続いていく。

それは、愛莉が教えてくれた大切な気づきだった。

これからも僕は、絆創膏を持ち歩き続けるだろう。

でも二度と、自分を失うような優しさはしない。

それが、あの雨の夜に学んだことだった。

ネタバレ2話【マイダイアリー】 – 10時さん生きているふりの夜

いつものように、夜10時。

私は今日もフライドポテトを注文するはずだった。

でも、立ち上がる力さえなかった。

雨が降っていた。

私の部屋は、私の心のように散らかっていた。

社会人になって3年目。

生きているふりがうまくなったと思っていた。

でも、その仮面が突然、重たくなった。

店の前で、ただうずくまっていた時。

彼が傘を差し出してくれた。

いつも注文を取ってくれる、優しい目をした男の子。

名前を聞かれても答えられなかった。

きっと、本当の私を知られたくなかったから。

部屋の散らかり具合を見て、彼は「片付けましょうか?」と言ってくれた。

こんな私の部屋を見ても、逃げ出さなかった。

「社会人になるって、生きているふりがうまくなること」

思わず本音が漏れた。

「生きてるふりしてるうちに生きてるかわからなくなっちゃった」

その言葉に、彼は黙って頷いただけだった。

朝まで、ただ私の話を聞いてくれた。

フライドポテトを注文する女の子から、壊れかけた大人の姿まで。

全部受け止めてくれた。

でも、これは恋じゃない。

私にはわかっていた。

彼の優しさは、誰かを救いたいという気持ちから来ていた。

それは私という人間への想いじゃない。

だから、彼が再び訪ねてきた時。

私は全てを終わらせることにした。

彼の優しさに甘えてはいけないと思った。

私は私の道を、彼は彼の道を。

それぞれの人生を歩んでいかなければならない。

あの夜、雨の中で差し出された傘。

それは一瞬の優しさだった。

でも、その優しさが私に教えてくれた。

生きているふりをするのは、もうやめよう。

本当に生きていこう。

それが、あの夜の雨が教えてくれたことだった。

今でも夜10時になると、あの夜のことを思い出す。

フライドポテトの味と、優しい男の子の微笑みを。

そして、生きることの意味を探し始めた私自身を。

それは、一つの終わりであり、始まりだった。

ネタバレ3話【マイダイアリー】あらすじ

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マイダイアリー – あくびの向こう側

今夜も、まひるが仕事帰りに私の部屋に来てくれた。

いつものように、二人で料理を作って、夕食を食べて。

「広海くんとは、どう?」って、何気なく聞いてみる。

まひるは少し照れたような表情を見せる。

私たちにはこういう空気が似合う。

気づいたら、私はあくびをしていた。

そのあくびを見て、まひるが懐かしそうに笑う。

そうだ、あの夏のこと。

2年前の7月。

空き教室で、愛莉と虎之介と広海と私で、テスト勉強をしていた。

でも、まひるはそこにいなかった。

彼女は『F1RST SENSE』のライブを見に行っていた。

ショッピングモールの小さなステージ。

観客はまばらだったけど、まひるは最前列で輝いていた。

その日の夕方、ファミレスに集まった私たち。

虎之介が「夏休みに5人で遊びに行かない?」と提案した。

動物園がいい、水族館がいい。

みんなで楽しそうに場所を出し合う中で、まひるだけが少し黙っていた。

後で私と愛莉に打ち明けてくれた理由は、意外なものだった。

「虎之介くんと広海くんの前で、あくびができないの」

最初は笑ってしまった。

でも、それはまひるらしい悩みだった。

気を遣って、背筋を伸ばして、いい子でいなきゃって思う気持ち。

私にもわかる気がした。

そんな時、突然の知らせが。

まひるの最推しのRIM様が、グループを卒業すると発表したの。

泣きながら、オンラインチケットを買うまひる。

私と愛莉には、なぜ現地に行かないのかが不思議で仕方なかった。

でも今なら、少しわかる気がする。

人との距離感って、そう簡単には近づけない。

だからこそ、遠くからでも見守りたい時がある。

まひるは、RIM様との距離を、そうやって保とうとしていたのかもしれない。

私たちとの距離だって、少しずつ縮めていったんだ。

今では、こうして何も気にせずあくびができる関係になって。

「ねぇ、覚えてる?」

私は夕食の後、まひるに尋ねてみた。

「あの頃、男子の前であくびできないって言ってた時のこと」

まひるは照れくさそうに笑う。

「今じゃ、広海くんの前でも平気であくびしちゃうもんね」

そう言って、二人で笑った。

人との距離って、こうやって少しずつ縮まっていくんだ。

あくびひとつで変わる関係性。

それは、私たちの青春の証だった。

今でも時々、あの夏のことを思い出す。

まひるが『F1RST SENSE』のライブで見せた輝く笑顔を。

ファミレスでの楽しそうな話し合いを。

そして、少しずつ本音を見せ合えるようになった私たちを。

日記を読み返しながら、私は今夜もあくびをする。

まひるの前で、何も隠さずに。

マイダイアリーネタバレ3話私の部屋に仕事帰りのまひるが訪ねてきた夜のこと。優希より

彼女と一緒に夕食を作りながら、なんとなく懐かしい気持ちになった。大学時代から変わらない彼女の仕草、少し強めの味付けの好み、そして何より、安心して見せられる素の表情。広海の話が出た時も、昔のように気恥ずかしそうに頬を染めるまひるを見て、私は思わずクスッと笑ってしまった。

そうして、ついあくびが出てしまった私の姿を見て、まひるが「優希らしい」と言って笑う。その言葉に触発されて、私は2年前の日記を開いてみた。

あの夏の日のこと。教室で私たち4人がテスト勉強をしていた時、まひるだけがいなかった。彼女は推しているアイドルグループ「F1RST SENSE」のライブを見に行っていたんだ。ショッピングモールの小さなステージで、観客もまばらな中で。でも、まひるはいつも全力で応援していた。特にRIM様のことは本当に大切に想っていて…。

その日の夕方、ファミレスに集まった5人で夏休みの計画を立てることになった時のこと。みんなが楽しそうに行き先を出し合う中で、まひるだけが少し後ずさりするような様子を見せた。後で打ち明けてくれた理由は、「虎之介と広海の前であくびができないから」だった。なんて可愛らしい悩みなんだろう、と思った反面、その言葉の裏には何か深い意味が隠されているような気がして…。

そして、その夜。まひるの人生を大きく揺るがすような出来事が起きた。最推しのRIM様が突然の卒業を発表したのだ。まひるはショックを受けながらも、すぐに卒業公演のチケットを購入した。でも、それがオンラインチケットだと知った時、私と愛莉は違和感を覚えた。いつも現地で全力で応援していたまひるが、なぜオンラインなんだろう…。

その時は気付かなかった。まひるの中に潜む小さな恐れの影に。人混みの中で感じる不安に。そして、彼女が必死に隠そうとしていた過去のトラウマに。

「忘れよう、乗り越えられないことは…」

まひるの母さんの言葉が、今になって重く心に響く。あの頃の私たちには、まだまだ知らないことが多すぎた。だからこそ、今、社会人になった私たちは、あの日々を優しく振り返ることができるのかもしれない。

そう、これは私たちの日記。けれど同時に、まひるの心の扉が少しずつ開いていく物語でもあったんだ。

マイダイアリーネタバレ3話まひるの語り

仕事帰りに優希の部屋を訪ねた夜。

みんなと同じように自然に振る舞えることが、どれだけ私にとって特別なことか、きっと誰も知らない。優希の前でふと出るあくび一つさえ、私には小さな勇気がいるんです。

あの頃の私は、F1RST SENSEのライブ会場で、観客がまばらなステージに立つ彼らを見つめながら、ひとりでいることの安心感と寂しさを同時に感じていた。特にRIM様は、私の心の支えだった。彼の笑顔は、私の不安な心を温かく包んでくれる。だから私は、たとえ小さなショッピングモールのステージでも、全力で応援していた。その方が、自分の気持ちに正直でいられたから。

テスト勉強の日、私はまたライブに行っていた。優希たちが教室で机を並べている時も。でも、それが私の居場所だった。人混みの中でも、推しを応援することに集中していれば、あの小学生の時の記憶が私を苦しめることはない…そう信じていた。

夕方、ファミレスで夏休みの計画を立てることになった時。動物園や水族館という案が次々と出される中で、私の心は少しずつ縮こまっていった。虎之介と広海がいる場所で、リラックスした素の自分を出すなんて…。「あくびができないから」なんて言い訳をして。本当は、知らない場所で予期せぬことが起きるのが怖かっただけなのに。

そして、その夜は私の世界が揺らいだ。

「RIM様が卒業…?」

画面に映る文字を何度も読み返した。突然の発表に、私の心は凍りついた。でも、不思議と涙は出なかった。代わりに、体の奥から込み上げてきたのは、言葉にできない不安。だから、卒業公演のチケットは迷わずオンラインにした。

優希と愛莉は不思議そうな顔をしていた。いつも現地で応援している私が、なぜオンライン?って。でも、言えなかった。あの場所に行けない本当の理由を。

「忘れよう、乗り越えられないことは…」

小学生の時、母さんはそう言って私を守ろうとしてくれた。でも、忘れることと乗り越えることは違う。それに気づくまでに、私はどれだけの時間が必要だったんだろう。

RIM様の存在は、私にとって特別だった。彼の歌声は、トラウマで閉ざされた私の心の扉を、少しずつ開いてくれる鍵のような。だから、たとえ画面越しでも、最後まで応援したかった。それが、私なりの前に進む方法だった。

優希たちは、きっと気づいていたんだと思う。私の中の小さな震えに。でも、無理に聞こうとはしなかった。ただ、そばにいてくれた。それだけで十分だった。

今、社会人になった私たちは、少しずつ変わってきている。優希の部屋で夕食を作りながら話す時間は、まるで魔法みたい。ここにいれば、あの頃よりも少しだけ、強くなれる気がする。

まだ私は、全てを話せる訳じゃない。でも、いつか…きっといつか、この心の扉を、完全に開くことができる日が来るはず。そう信じながら、今日も私は、自分の日記をそっと開くの。

ネタバレ4話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ5話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ6話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ7話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ8話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ9話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ10話【マイダイアリー】あらすじ

ネタバレ最終回【マイダイアリー】あらすじ

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