【マイダイアリー】10時さんは何者?女優の正体! 生きているふりの夜に降る雨
毎晩10時。
この時間になると、私は必ずファミレスに行く。
それは3年前から続けている儀式みたいなもの。
フライドポテトを一人で食べながら、今日も一日、ちゃんと生きられたことを確認する。
でも、今夜は違った。
鏡を見ても、自分が誰なのかわからなくなっていた。
スーツを着て、化粧をして、笑顔を作って。
完璧な会社員を演じることに、疲れ果てていた。
雨が降っていた。
冷たい雨が、化粧を落としていく。
ファミレスの前で、ただうずくまっていた。
もう立ち上がる力も、誰かに会う勇気もなかった。
その時、雨音が止んだ。
見上げると、彼が傘を差し出していた。
いつも注文を取ってくれる、優しい目をした男の子。
制服姿で、少し困ったように微笑んでいる。
「お客様、大丈夫ですか?」
その言葉が、堰を切ったように私の感情を溢れさせた。
名前を聞かれても答えられなかった。
本当の私を知られたら、この優しさも消えてしまうような気がして。
彼は私を家まで送ると言った。
断る力も残っていなかった。
部屋に着いて、鍵を開けた時。
散らかった部屋を見て、私は初めて自分の心の中を見られたような気がした。
書類は床に散らばり、洗濯物は山積み。
まるで、私の心のように乱れていた。
「片付けましょうか?」
彼の声は、優しすぎて痛いくらいだった。
一緒に片付けながら、言葉が零れ出した。
「私ね、毎日必死なの」
「社会人になるって、生きているふりがうまくなることだって思ってた」
「でも、そのふりが重すぎて」
「生きてるふりしてるうちに、本当に生きてるのかわからなくなっちゃった」
彼は黙って聞いてくれた。
私の涙も、言葉も、全部受け止めてくれた。
朝日が昇るまで。
フライドポテトを注文する明るい女の子から、壊れかけた灰色の大人まで。
私の全ての顔を見せた夜。
でも、これは恋じゃないとわかっていた。
彼の優しさは、純粋すぎた。
誰かを救いたいという、無垢な心からの行動。
それは私という人間への想いとは違う。
だから、彼が再び訪ねてきた時。
私は笑顔で終わりにした。
「ありがとう。でも、もう大丈夫」
彼の優しさに甘えることは、彼の純粋さを汚すことになる。
私には私の、彼には彼の道がある。
あの雨の夜は、一つの区切りだった。
今でも雨の日の夜10時になると、思い出す。
差し出された傘の優しさと。
フライドポテトの塩辛さと。
そして、生きることの意味を見失いかけた私自身を。
毎日10時、私はまだファミレスに行く。
でも、もう演技はしていない。
本当の私で、生きている。
時々、フライドポテトを注文しながら考える。
あの夜の彼は、今どんな優しさを誰かにあげているのだろう。
そして、その優しさが誰かの人生を、また少し変えているのだろう。
雨は、今も私の心を洗い流してくれる。
でも、もう寒くない。
生きているふりは、とうに終わった。
これが、私の本当の姿だから。
マイダイアリー10時さん〜是永瞳さん 。空手で鍛えた強さと演技で魅せる繊細さ~
豊後高田の空に、一人の少女の夢が広がっていた。
大分県豊後高田市で生まれ育った是永瞳さん。
1995年7月15日生まれの彼女は、姉がいる2人姉妹。
小学校6年生から始めた空手が、彼女の人生を大きく変えていく。
糸東流の空手で、その才能を開花させた瞳さん。
大分県立高田高等学校2年生の時には、大分県高等学校総合体育大会で準優勝という輝かしい成績を残す。
全国高校総体への出場も果たした彼女は、まさに空手少女だった。
高校時代は空手一色の生活で、体重も今より20キロも重かったという。
その筋肉と精神力は、後の女優人生の礎となっていく。
福岡大学へ進学後、運命が彼女を別の道へと導く。
2015年、ミス福岡大学でグランプリを獲得。
地元・豊後高田市の「恋叶(こいかな)ロード」のイメージポスターモデルも務め、地域の誇りとなる。
そして2016年、オスカープロモーション主催の「ミス美しい20代コンテスト」でグランプリを受賞。
173センチの長身から繰り出される凛とした佇まいは、誰もの目を惹きつけた。
2017年には空手3段に合格。
その年、東京オリンピックの空手スペシャルアンバサダーにも就任。
空手と演技、二つの世界で輝きを放つ彼女は、2017年「ドクターX」で本格女優デビュー。
そして2024年、「マイダイアリー」で魅せた10時さん役は、多くの視聴者の心を揺さぶった。
社会に押しつぶされそうな薄幸なOL役を繊細に演じ切った彼女。
しかし素顔は空手で鍛え上げた強さを持つ。
この相反する魅力こそが、是永瞳さんの真髄なのかもしれない。
趣味は料理・スポーツ・グルメリサーチ。
173センチの長身から放つオーラと、空手で培った精神力。
そして繊細な演技力で魅せる女優としての才能。
豊後高田から羽ばたいた一人の少女は、今や多くの人々を魅了する存在となっている。
これからも彼女の新たな挑戦が、私たちを魅了してくれることだろう。
地元・大分では2021年、東京オリンピックの聖火ランナーも務めた。
故郷を愛し、夢を追い続ける彼女の姿は、多くの人々に勇気を与えている。
空手、モデル、女優。
どの世界でも輝きを放つ是永瞳さんの未来は、まだまだ広がり続けている。