海に眠るダイヤモンドネタバレ5話!リナと進平のの秘密!〜リナの語りで
私の心には、愛する者を失う呪いがかけられている——。
進平の部屋を訪れた夜、私は長年封印していた過去を打ち明けた。愛した人が次々と命を落としていく。それは呪いとしか思えなかった。私の心の闇を吐露すると、進平もまた「俺も呪われとる」と、亡き妻・栄子の写真に目を向けた。二人の魂に刻まれた喪失の痛みが、静かに共鳴した夜だった。
もう誰も愛さない——。そう誓い合った私たちだったのに。
あの日、私は小鉄に追い詰められ、死を覚悟した。命の危険を感じた瞬間、不思議なことに浮かんだのは進平の顔だった。そして彼が現れ、私を守るように立ちはだかった時、胸の奥が切なく熱くなった。
銃声が鳴り、小鉄が海に沈んでいく様子を、私は涙で霞んだ目で見つめていた。進平の脇腹に手を伸ばした時、その温もりに触れて初めて、私の中の何かが崩れ落ちていくのを感じた。「死んじゃうかと思った」——その言葉には、もう二度と大切な人を失いたくないという痛切な願いが込められていた。
進平が優しく私の顔の血を拭ってくれた時、私の中の理性は完全に崩壊した。唇が触れ合う。「ごめんね」——それは呪いを破ってしまった自分への謝罪であり、同時に新たな運命を受け入れる覚悟の言葉でもあった。
進平が返した口づけには、言葉では語れない深い感情が込められていた。二人で誓った孤独な誓いを破り、再び愛することを選んでしまった。それは甘美で、切なく、そして少しだけ罪深い決意だった。
海の匂いが漂う端島の夜に、私たちは新たな呪いの始まりを受け入れた。愛しあうことは、いつか必ず訪れる別れの痛みを約束することだと知りながら——。それでも、この瞬間だけは、互いの温もりに溺れることを選んだ。
愛は時に、私たちの理性も誓いも超えて、魂を揺さぶる。端島の潮風に乗って響く波音のように、止めることのできない感情の渦に、私は身を委ねた。たとえそれが新たな悲しみへの序章だとしても——。
海に眠るダイヤモンドネタバレ5話!リナと進平のの秘密!〜進平の語りで
俺は誓ったはずだった。もう二度と、誰かを愛することはないと——。
栄子を失ってから、この端島の灰色の空のように、心は色を失っていた。毎日を無感情に生きることが、残された者の贖罪のようだった。だが、あの日リナが部屋を訪れた時、俺の中で何かが揺らいだ。
「愛した人が死んでしまう呪い」—— 彼女の告白に、俺は自分の影を見た。栄子の遺影に目を向けながら「俺も呪われとる」と答えた瞬間、魂の奥底で何かが共鳴した。同じ痛みを抱えた者同士、互いの深い孤独を理解できた。
誰も愛さずに生きていく。そう誓い合った夜は、この端島の闇よりも深かった。だが、その誓いは脆くも崩れ去ることになる。
ヤクザの小鉄が現れた時、体が勝手に動いていた。リナを守るために走り、立ちはだかる。銃を向ける手が震えていたのは、ただ彼女を失うことへの恐れだけだった。
海に沈んでいく小鉄を見送りながら、俺は気付いていた。もう後戻りはできないと。血に染まった顔を拭うリナに触れた時、指先から伝わる温もりが、凍てついていた心を溶かしていった。
彼女の唇が触れ、「ごめんね」という言葉が耳元で囁かれた。それは俺たちの誓いを破ることへの謝罪であり、新たな運命を受け入れる覚悟でもあった。返す口づけには、もう言葉では足りない想いを全て込めた。
栄子、許してくれ——。だが、この想いは止められない。灰色だった世界に、再び色が滲み始めている。端島の潮風が運ぶ波のうねりのように、抗いがたい感情が胸の中で渦を巻いていた。
炭鉱の底から響く機械音のように、鼓動が高鳴る。いつか訪れる別れを知りながら、俺たちは互いの温もりに溺れることを選んだ。呪われた運命など知りながら。
この島で生きる者たちは皆、何かを背負っている。俺も、リナも。だからこそ、互いの闇を受け入れ合える。たとえそれが、新たな悲しみへの序章だとしても——。
夜の端島を包む海の轟きは、まるで俺たちの禁じられた愛を祝福するようにも、それとも警告を告げるようにも聞こえた。だが、もう後には引けない。この想いは、島を取り巻く荒波のように、誰にも止められない。
愛は時として、理性も誓いも超えて、魂を揺さぶる。端島の潮風に身を任せるように、この感情の渦に身を委ねる。たとえ、それが新たな呪いの始まりだとしても——俺たちは、もう引き返すことはできない。